厚顔無恥

# torigoro 『兼業主婦様
特別サービスです。統計資料を調べるのって、大変なんですから。もし、やる気と時間があったら、厚生労働省が一連の統計表をネットで公開してますから、ご自身で調べてみてくださいね。

自分は長文の質問してるのに、どういう神経しているのだろうか?

かのブログは、炎上寸前の雰囲気になっていて、傍観者としてはサイコーに面白いです。

というid:shy1221さんの言葉*1を肝に銘じて流し読みすべきですね。

医学の専門知識って勉強するのって、大変なんですから。もし、やる気と時間があったら、本屋さん・図書館で購入・閲覧できますから、ご自身でもっと調べてから記事にして下さいね。

# 兼業主婦 『出産を希望している者として、この問題に関心を持っている非医療従事者です。
このコメントを投稿時点でとりごろうさんの元記事と全投稿を読んでいますが、ジャーナリズムにも医療にも素人なため、完全に理解できているか読み落としや誤解がないかと不安ですが、朝日新聞の記事についてとりごろうさんも誤読をされていたようなので多少の安心材料となっています。
とりごろうさんや医師の方には自明のことなのかもしれませんが、何点も教えていただきたい疑問を持っています。
1.日本の1年間の出産件数
2.そのうち帝王切開既往で前置胎盤であるケース数
3.帝王切開既往で前置胎盤の場合に癒着胎盤が疑われるのと同程度のリスクが予想される他の要因を持った出産の件数
4.全国の産婦人科医数と癒着胎盤の治療経験がある産婦人科医数
5.福島県産婦人科医数と癒着胎盤の治療経験がある産婦人科医数
6.ハイリスクの出産は全て高次の医療機関で行うことにする場合、ハイリスクというのは確率何%を基準にるすのか。それとも確率に関係なく、生命が危ぶまれる可能性がある場合はハイリスクなのか。
7.出産は正常と予想されていても終わってみるまで分からないと聞いています。この場合、病院ではなく自宅や助産院で産みたいという希望は患者の不適切な希望とみなされないのでしょうか。
8.適切な出産システムを整えるために必要なコストとマンパワー
9.適切な出産システムが整えられるまでの移行期に、加藤医師と同様の事案が起こった場合は誰が責任を負うのか。
10.とりごろうさんは、加藤医師が自分で手術を行うと決定したことに責任を負うべきとおっしゃっていますが、どうすれば責任を取ったことになるのか。

私は周産期医療の問題について加藤医師の事案で初めて知りました。これまで周産期医療という言葉すら知りませんでした。論座の記事中に「すでに10年前にこのような提言がされながら、なぜこれが実現するどころか、より事態が悪化してしまったのか。訴訟リスクの高さや政府・行政・国民の無理解、マスコミの的外れな報道にも責任があるだろう。だが、周産期医療を担う医師(特に、学会で重責を担う医師たち)にも、反省すべき点はなかっただろうか。」とありますが、10年前、現在のブログのような情報伝達手段は無かったと思います。私たちのような普通の庶民にとって、社会の出来事や問題を知る術はマスコミだけだったと思います(特別に関心を持っている方には違ったかもしれませんが)。現場の医師がどれだけ問題を感じていても、制度を整えるのは行政や政治の責任で、行政や政治の方向を決定するのは私たち国民の責任だと理解しています。周産期医療のような重要な問題についてマスコミはなぜ私たちにもっと伝えてくれなかったのか、という感想を持ちました。今回も、周産期医療の問題について私なりに理解する上で役立ったのは、マスコミではなくブログなどWeb上の情報でした。マスコミ、ジャーナリストの役割とは何なのか、そもそもジャーナリストの定義が何なのか、再考が必要な時代が始まっているように感じています。』
# torigoro 『兼業主婦様
特別サービスです。統計資料を調べるのって、大変なんですから。もし、やる気と時間があったら、厚生労働省が一連の統計表をネットで公開してますから、ご自身で調べてみてくださいね。

<ご質問1> 日本の出生件数は平成16年に111万人です(人口動態調査より)
<ご質問2> 帝王切開既往で前置胎盤のケースは、おおざっぱな計算ですが、前置胎盤が前分娩の0.5%とすると、5550人。
 前置胎盤のうち帝王切開既往例に合併するのは、日本の平均帝王切開率を15%と想定すると、帝王切開(111万×15%)×前置胎盤のリスク(0.5%)×帝王切開による前置胎盤リスク上昇率(約5倍)=4162.5人でしょうか。
帝王切開既往のリスク上昇率は、『NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 3版』(医歯薬出版)に、「(帝王切開既往)1回で4.5倍、2回で7.4倍、3回で6.5倍、4回では44.9倍とありましたので、おおざっぱで申し訳ないですが、約5倍と計算しました。
 ちなみに、同じ計算を福島県ですると、福島県の平成16年の出生数が18306人ですので、69人となります。
<ご質問3> これは正確には答えかねますが、取材を通じてある産婦人科医に聞いたところ、いわゆるハイリスク症例は前分娩の数%(正確な数字でなく恐縮ですが、2、3%〜1割以下と思ってください)。ただし、順調と思っていても出産で危険な状態になる人もいて、そういう人も含めると1〜2割になるそうです。
<ご質問4> これも、正確にはお答えかねますが、前分娩における癒着胎盤の割合が0.01〜0.04%ということですから、111人〜444人ということになりますね。そうすると、癒着胎盤を経験する医師はかなり少ないということになります。取材で得た話だと、地域の中核病院でも、4年に1例あるかないかの低頻度です。ですから、癒着胎盤を経験した産婦人科医がどれくらいいるかはわかりませんが、かなり少ないことは間違いないでしょう。
<ご質問5> 福島県の産科医数は平成16年に190人です(産婦人科153人、産科3人、婦人科34人)=(厚労省「医師・歯科医師・薬剤師調査」より)
<ご質問6> ご質問3をご参照ください。
<ご質問7> できるだけ自然のまま生みたい、できるだけ帝王切開や陣痛促進剤を避けたいという方もおられると思います。一般の産院や助産院で産みたい場合には、いかに高次の病院と連携ができて、スムーズに搬送できるかを考える必要があるでしょう。もちろん、そのリスクを患者が十分理解し、引き受ける必要もあると思います。「できるだけ自然のままに生みたい」という希望をかなえるためには何が必要かは、大野明子氏の『分娩台よ、さようなら』(メディカ出版)が参考になると思います。わたしもこの取材を機会に読ませていただきました。
<ご質問8> これについては、わたしに答える能力はいまありません。ただ、わたしがいいたいのは、癒着胎盤という稀なケースが通常より高いと考えられるからこそ、帝王切開に合併する前置胎盤のようなハイリスク症例は周産期センターに集中化して、1医師の経験症例数を高めることによって救命率を上げるべきだと考えています(年々、帝王切開率は上昇しているはずですので、今回のようなケースはますます増えるでしょう)。
<ご質問9> わたしは加藤医師がご自身で判断ミスを認識され、再発防止を誓って日常業務をなさっていた可能性が高いので、もし刑事罰に相当するような事項(あまりに稚拙な注意義務違反、カルテなどデータの改竄・隠蔽・隠滅行為など)がなければ、十分に責任をとっておられると思います。補償交渉については民事の手続きで公明正大に行っていけばいいことだと思います。ただ、個人の責任としても、組織の責任としても、やらねばならないのは、どうすれば再発を防止できるか、ご遺族とともに考えることだと思います。この意味で、ご遺族にヒアリングすることなく(そうしようともせず)、たった数ページの文章でできた「報告書」は、不十分極まりないと思っています。

最後に、周産期医療が危機に瀕していることについて、政府・行政は当然のこととして、マスコミにも、国民にも責任がないなんてまったく思っていません。なぜ、記事であのように書いたかというと、各立場が各自で責任を取る姿勢をもたないといけないと思うからです。「医療政策、医療システム」の問題にすべてを押し付けることは適切ではありません。人的システムの問題なのですから、エラーがあったのなら人が責任をとらねばなりません。なにかを言い訳にして、自分たちで責任を引き受けることを回避しようとする立場がひとつでもあるならば、人的システムを変えることなどできないでしょう。ですので、医師の方々にも、医局が、行政が、医師会が・・・・・・といわずに、自分たちの責任としても引き受けてほしいと思って書いたのです。何度も書きますが、わたしはマスコミに対する批判も、甘んじて受けねばならないと思っています(わたしは、大マスコミの一員ではなく、組織外のフリーの立場ですが、それでもマスコミのいったんに関わるかぎり、みなさんの批判を受け止めなければならないと思っています)。
以上です、兼業主婦さん。そんなにまじめに答えを返さなくてもいいよって、多くの人から言われているのですが、ついつい・・・・・・(統計の操作に間違いがありましたら、ご指摘のうえ正しい数字を補足してくださいね)。』
# torigoro 『あ、ご質問3は、適切な答えではなかったですね。癒着胎盤と同等のリスクを持ったハイリスクに限定すると、どれくらいになるかはちょっとわかりません。』
# torigoro 『ありゃ、ご質問2の回答も、前置胎盤が5550人で、前回帝王切開に合併する前置胎盤が4162.5人なんて、これもおかしな推計ですね。すみません。前置胎盤のうち、前回帝王切開に既往するケースが何%かという数字があればいいんですけど・・・・・・ほんと、おおざっぱすぎて、すみません。』

*1:id:Yosyan:20060608さんのコメント欄。