期待値無限大

日経メディカル2007年8月号が手元にある人はぜひ見て欲しいのですが、『医療訴訟の「そこが知りたい」』という連載。
私にはある時から急に送られてきて、以降ずっと無料で送られてきています。住所変更しようかどうしようか迷っていますが、お金払っていないのに厚かましいかな、と思って住所変更していません。未だに実家に届いていますw


今回の記事、要約すれば、

  • 乳癌の患者さんが本で探して見つけた病院を受診。
  • 生検の結果、乳房切除術が適応になる(温存術は適応外)。
  • セカンドオピニオンとして乳房温存術に積極的な某病院を受診するのはどうか聞いたところ
  • 成績が悪いので勧められない。
  • 結局、セカンドオピニオンはうけず、手術。

裁判所の判断は
適応基準を示して、適応がないと判断した理由を説明する事はもちろん、適応外の症例でも温存療法を行っている医療機関を教示すべき義務があった
のだそう。


セカンドオピニオンって、同じデータを見て冷静に再判断を下す事が求められていたのだと思っていましたが、裁判所的には違うようです。
なんといいますか、医学的には間違っていたとしても、患者さんの望む治療の受けられる医療機関に紹介することなのでしょうか?
それはただ単にこれこれこういう病院に紹介して欲しいと言えばいいだけだと思いますが...。
しかも、文脈からは、望む治療を受ける事ができる医療機関を調べて紹介しろ、と書いてある様に読めますね。そこまでしないといけないのか?


しかも、この訴訟で痛いのは患者さんの夫が医師ってところ。
他にも記事でツッコミが入っているところは、受診後3週間近く連絡がなかったため、電話をかけて生検を勧めたら、「治療方針の選択について熟考する機会を与えるという観点から見た場合、不適切であったとの批判の余地はある」そうです。
もう目茶苦茶w
生検結果を知らされて、手術をどうするかで悩むとか悩まないならまだ理解できますが、これはあんまりじゃないでしょうか?
検査を進めてくれて診断に至ってありがとうっていうのが普通の感覚じゃないのか?


慰謝料等1100万円の訴えに対して地裁は請求棄却、高裁は医師側敗訴で240万円を払う判決、最高裁は上告棄却で判決確定。


判決文を探しましたが探し方が悪かったのか見つかりませんでした。
見つかったとしても読むのは私には無理そうなので誰か検討してくれませんか?(他力本願)


しかし、こういう訳わからない判決に対してはなんとか出来ないもんですかねぇ。
記事の解説は医師兼弁護士の方が書いています。


追記
訴えられた側の医師ですが、乳房温存手術に積極的に取り組んでいるそうで、本にもそういう風に書かれていて、それを読んだ患者が希望して受診したようです。
つまり、積極的に取り組んでいる医師が適応外と言っているのだから、本当に適応外なのでしょう。
まあ、こういう患者さんには係わり合いにならない事がいいようですね。