サリドマイド登録

m3の医療ニュースで知ったのだが...


多発性骨髄腫の患者さんの中で妊娠可能な女性の割合ってどれぐらいなのだろうか?
薬害被害者団体の要請があったのかもしれませんが、かなり少ない患者さんのために前例登録制にするってのは事務作業を増やすだけにしかならないってわかっているのでしょうか?
わかっているのでしょうねぇ。どうせ、自分の仕事じゃないし、厚生労働省の権限が増えるのは良いことなのでしょうね。

多発性骨髄腫は、男性に多く発生する高齢者の病気です。年齢別に発生頻度を比較検討すると65〜70歳にピークがあり、40歳以下では非常に少なく、全多発性骨髄腫症例の2%以下を占めるにすぎません。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/cancer/010216.html

共同通信
サリドマイド登録義務付け 今夏にも 厚労省 (1)

 かつて睡眠薬として市販され、服用した妊婦から手足が短い赤ちゃんが生まれるなど深刻な薬害を引き起こしたサリドマイドを医師が個人輸入し、多発性骨髄腫などの治療に使う動きが広がっている問題で、厚生労働省は11日までに、輸入するすべての医師に対し、患者の登録を義務付ける方針を決めた。

 医師の裁量で使われる未承認薬に国が監視の網をかけるのは初めて。

 法的な強制力はないが、厚労省研究班が開発したインターネット上の管理システムに登録しなければ、個人輸入に必要な「薬事監視証明書(薬監証明)」を申請できないこととする。今夏にも運用を始める。

 登録を通じサリドマイド服用中の患者の避妊指導を徹底、万一患者が妊娠した場合は国への緊急報告の対象とし、薬害の再発防止に万全を期す。

 サリドマイドは医師による輸入が急増する中、患者に渡した未使用分を回収せず放置するなど、ずさんな薬剤管理が問題化している。

 厚労省によると、登録対象となるのは患者氏名(イニシャルのみ)、性別、病名、医療機関と担当医師名などで、研究班が開発した「サリドマイド使用登録システム(SMUD)」への入力を医師に求める。

 未承認薬の治療目的での輸入には、厚労省が発行する薬監証明を税関に提出する必要があるが、サリドマイドの場合には、SMUDに登録済みのデータをプリントアウトし薬監証明の申請書に添付する仕組みとする。

 治療中に患者が妊娠した場合は、医師が情報を登録、データが直接厚労省に送信される。患者の妊娠検査や避妊指導の有無、副作用の内容、余った薬の回収状況なども随時入力してもらう。

 サリドマイドは1950年代後半に欧州や日本で広く販売されたが、薬害が問題化し回収された。その後、多発性骨髄腫への治療効果が脚光を浴びるようになり、米国は今年5月に治療薬として承認。日本でも製薬会社1社が承認を目指し治験を続けている。


もろ刃の剣、放置できず (2)

 【解説】国がサリドマイドの患者登録を義務付ける方針を決めたのは、ずさんな薬剤管理が指摘される現状をこれ以上放置できないという危機感の表れだ。

 サリドマイドは多発性骨髄腫の治療効果が期待されるが、妊婦や妊娠の可能性がある人が服用すれば再び悲劇を招きかねない"もろ刃の剣"。国が「医師の裁量で使うのだから医師の責任」としてきた従来の立場から、一歩踏み込んだ意義は大きい。

 厚労省によると、サリドマイドの輸入量は2001年の約16万錠から03年には約53万錠と急増。日本臨床血液学会は急きょ適正使用ガイドラインを作成したが、医師が残った薬の回収・廃棄を怠ったり、患者への避妊指導が徹底されていない実態が厚労省などの調査で判明している。

 米国では、サリドマイドは「S・T・E・P・S」と呼ばれる厳格な安全管理システム下で使用されている。医師や薬剤師は製薬会社の管理センターに投薬状況や妊娠の有無を逐一報告し、許可を得ない限り処方や投薬を続けることができない仕組みだ。

 国内でも「漏れのない登録制度の実現」を求めてきた薬害被害者団体の要請を受け、ようやく患者登録義務付けの運びとなったが、使用状況に関するきめ細かなデータ入力は医師の自発的努力に委ねるしかないのが実情。安全管理システムが円滑に機能するためには、個々の医師のモラルがあらためて求められる。